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公開日 : 2020年03月05日

ふくしまのおいしいを見っけ!
~食のプロとめぐる生産者ツアー~
【後編:伊賀いちご園、大野村農園、カトウファーム】

一般社団法人「東の食の会」様(福島県の生産者を応援するチーム「チームふくしまプライド。」を運営)とのプロジェクトで、飲食店やケータリング業を営む方々とともに福島県の農産物生産者をめぐるツアーを開催しました。
 
今回が初開催となった現地ツアー。【前編】に続き、後半の今回は「伊賀いちご園」さん、「大野村農園」さん、「カトウファーム」さんをレポートします。
 
毎シーズン「最高!」を更新し続ける、
世界一のいちご作り

いちごの葉が力強く生き生きと茂る様子に、ハウス内に一歩足を踏み入れただけで食のプロたちの期待を集めた「伊賀いちご園」の2代目当主、伊賀良真さん。ご両親から農園を受け継ぎ、独自の研究と努力で「超減農薬栽培」を実現。“食べて心の底から笑顔になれるいちご”をコンセプトに、毎シーズンどう以前の自分の味を超えられるか、肥料や環境にこだわりながら改良をし続けています。
 
イメージは何重にも出汁をとる“和食”。
独自ブレンドの肥料でいちごに旨みを

伊賀さんが育てているのは、しっかりとした甘さと香り、酸味が特徴の福島県で開発された「ふくはる香」、華やかな甘さと香り、そしてやわらかな実が特徴の「章姫(あきひめ)」、酸味と甘みのバランスが良い「とちおとめ」の3品種。
 
伊賀さん曰く、「よそと同じ品種でも、育て方によって味が全然違う」とのこと。養分と糖分を作るのに欠かせない光合成を最大限促す環境を管理し(だから葉っぱが力強い!)、いわしや海藻、牛骨、納豆菌などを用いて独自で肥料をブレンド。さらに、水の分子を細かくする機械を用いて細胞レベルまで養分をいちごに染み込ませ、ほかにはない「旨み」を引き出しています。

「うちのいちご目当てに南相馬を訪れる人を増やしたいです。仲間の農家とも協力しながら、南相馬のおいしいものを食べてもらって笑顔になって、街全体が元気になればうれしい!」と、目標を語ってくれた伊賀さん。3品種を食べ比べて、それぞれのしっかりとした個性に参加者の方々も大盛り上がりでした。

<伊賀いちご園>
https://014115.jp/

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相馬の街から最高のものを生み出したい!
逆境を強みに変えたブランド卵

3軒目にお邪魔したのは、東日本大震災後に東京から相馬に戻って新規就農し、平飼いの自然卵「相馬ミルキーエッグ」や野菜を育てる「大野村農園」の菊地将兵さん。
 
震災後、地元の人たちが地元のものを食べたくないという不条理に悔しさを感じ、この町でしか作れない本当に良いもの、自分の子どもに自信を持って食べさせたいものを作ろうと、地域社会にも貢献する循環型の農業や養鶏をされています。
 
相馬自慢の魚のアラや食材で
鶏たちを元気よく健康に育てる

参加者の方から「鶏舎特有の臭さが全くないですね!」と驚きの声が上がった菊池さんの平飼い鶏舎。「岡崎おうはん」という純国産鶏がのびのびと暮らしています。
 
「鶏に負担をかけず育て、餌も添加物や抗生物質は一切使わない。地元の漁師から魚のアラ、豆腐店からおから、米農家から米ぬかなどを卵と物々交換で譲っていただいて、カキ殻を除いて鶏たちの餌はすべて地元のもの。全部がいいものだから、匂わないんです」と、菊池さん。「手間暇は当然かかるけれど、地元でまわるんだったら地元でまわしたい。ずっと継続していく理想のかたちだと思ってます。」

相馬の伝統野菜である「相馬土垂(そうまどだれ、里芋の一種)」の復活事業や、食育、農業体験付きの民泊運営、卵の売上の一部をシングルマザー支援に寄付する取り組みなど、さまざまな活動を行っている菊池さん。「農業の枠にとらわれず、農業を使って地域の力になりたい」という熱い思いを聞き、参加者の方々もすっかり菊池さんのファンに。おいしいもので人を幸せにするって、きっとこういうことなんだろうなと感じました。
 
<大野村農園>
https://www.oonomuranouen.com/

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ふくしまを盛り上げる!
田んぼを守り、地域も支える

ふくしまのおいしい!をめぐってきたツアーも終盤。最後に訪れたのは、福島市で最大規模の反数ながら、減農薬でこだわりのお米をつくる「カトウファーム」の加藤晃司さん・絵美さんご夫妻のもとへ。

祖父の田んぼをはじめ、担い手が減ってしまった田んぼを引き取り、東京ドーム9個分以上(!)もの広大な敷地で福島の銘柄米「天のつぶ」を育てています。さらに新たな取り組みとしてホップ栽培にもチャレンジされていて、クラフトビールの醸造もはじめられるのだとか。
 
雪解け水と特有の気温差が
極上の甘みを生む「天のつぶ」

つやつやと粒がしっかりと立った、炊き立ての「天のつぶ」で私たちを迎え入れてくれた加藤さんご夫妻。ふわっとしたやさしい香り、一口頬張ればかみしめるごとに増す甘さ! かれこれ4軒目にも関わらず、参加者の方々からは「おかわり!」の声が続々と(笑)。
 
カトウファーム」のお米は農薬を基準より5割減させた「減農薬」の方法を採用。吾妻連峰や安達太良山に積もったミネラル&養分たっぷりの雪解け水で栽培されていて、そこに盆地ならではの寒暖差も加わり、お米の旨みと甘さをぐっと引き出すのだそう。

こちらは加藤さんご夫妻が就農したての頃、寝る時間を削って絵美さんがひとつひとつ手作りし、人気商品として生活を支えてくれたという「茶飯」(しいたけおこわ)。和菓子屋で修行もしたそうで、べちゃっとせずお米一粒一粒がしっかりとしていながら、優しい口溶けと旨みの広がりがたまりません。おいしい冷凍食品の開発にも着手されるそうで、いつかこの茶飯が手軽に家で食べられるようになるかもしれません(期待大!)。

カトウファーム」のお米に「大野村農園」の卵をのせた、今回の旅の〆となる卵かけごはん(いま思い出すだけでおなかが鳴ります)。広大な田んぼをしっかりと管理しながらも、周辺農家との横断的な取り組みや新商品開発にアクティブに取り組む加藤さんご夫妻。おいしいお米とおふたりのパワーに、私たちが元気づけられました!
 
<カトウファーム>
http://katofarm-f.jp/

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4軒の農家さんをめぐったふくしまツアー。帰りの新幹線の時間ぎりぎりまで、ふくしまのおいしい食材を、そして工夫を重ねながら信念をもっておいしいものを生み出すみなさんとの交流を楽しみました。ふくしまのおいしい!を、ぜひ皆さんも味わってみてください。