SETAGAYA NEW WAVE 2026(2026年3月18日・北沢タウンホール開催)の告知ビジュアル
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官民連携で「続く場」をつくる|世田谷区 SETAGAYA PORT を5年半運営して分かったこと

世田谷区が主催する産業創造プラットフォーム「SETAGAYA PORT」は、2021年3月に始まりました。dot button companyは立ち上げの企画から関わり、いまも事務局として運営しています。

自治体の担当者の方から「官民連携でコミュニティをつくりたいが、単発のイベントで終わってしまう」という相談をよく受けます。この記事では、SETAGAYA PORT がどういう体制で、何をして、なぜ続いているのかを、区が公表している数字をもとにまとめました。同じ形を考えている方の参考になれば幸いです。

SETAGAYA PORTのイベントで交流する参加メンバーの様子

この事例の要点

  • 相手:世田谷区(経済産業部 経済課)。区が主催、dot button company が事業運営を受託し、事務局を担う
  • 期間:2021年3月〜現在(5年半、継続中)
  • 形:会員登録型のコミュニティプラットフォーム。登録は無料、区内外・法人個人・学生を問わない
  • 数字:登録メンバー 7,700名超(2026年7月)。区の公表資料では、LINE登録は令和6年度末で6,701人(前年度比 +1,956人)
  • 特徴:交流会、共創プロジェクト、年1回の大型イベントの3層で、単発の催しを「続く場」に変えた

出発点:区の相談は「場所」ではなく「続く交流」だった

きっかけは、私たちが当時オフィスを置いていた IID 世田谷ものづくり学校に、区の担当者から地域経済の活性化について相談をいただいたことでした。

区が求めていたのは、イベントの企画でも、施設の運営でもありませんでした。世代や業種をまたいだ交流が「一度きりで終わらず続く」こと、そこから生まれたアイデアが事業やプロジェクトになるまでの道筋があること。この2つでした。

この時点で、私たちは「単年度の委託事業」ではなく「プラットフォーム」として設計することを提案しました。イベントを積み上げても、翌年に人が残らなければ意味がない。人が残る仕組みを先につくり、イベントはその中で動かす。順番を逆にしないことが、最初の判断でした。

設計:「セタガヤ」と「なにか」を掛け合わせる

SETAGAYA PORT のコンセプトは「セタガヤ×なにか」です。企業、スタートアップ、フリーランス、会社員、プロボノ、大学、金融機関。立場の違う人が、自分の持ち物と世田谷を掛け合わせてみる。それを支える器として、3つの Official Program を置きました。

SETAGAYA PORT HUB(つながる)
定期交流会「BARニューウェーブ世田谷」や、事務局への事業相談「セタガヤミライカイギ」。会員が最初に触れる入口です。令和6年度は交流会10回・277名、面談者は約160名でした。

SETAGAYA SOCIAL LABO(共創する)
地域課題に会員が取り組むプロジェクト群。福祉事業所とクリエイターの音楽レーベル「セタオーレーベル」、サステナブルな出店者が集まる「エシカルマーケット」、区内店舗を巡る「サスセタ」、企業・大学と協働する社会実験「Seta Co Crea」などが動いています。

SETAGAYA NEW WAVE(交わる)
年1回、全世代・全業種が集まる大型イベント。令和6年度は申込167名・参加90名。2026年は北沢タウンホールで開催しました。

3層にした理由は単純で、人が関わる深さは一様ではないからです。年に一度だけ来る人、毎月の交流会に顔を出す人、プロジェクトの担い手になる人。どの深さでも居場所があるように、入口と中身と祭りを分けました。

区と民間の役割分担

官民連携が続くかどうかは、体制で決まります。SETAGAYA PORT は次の分担にしています。

世田谷区(経済産業部 経済課)dot button company(事務局)
立場主催者。事業の目的と枠組みを定め、区議会・区民に説明する事業運営の受託者。企画・運営・コミュニティマネジメントを担う
日常の運営方針協議、区内の関係部署・拠点との接続会員対応、交流会・プロジェクト・大型イベントの企画運営、Web・LINE・メールでの発信
成果の扱い毎年度、実績報告として公表数字を追える形で記録し、翌年度の設計に反映

大事にしているのは、区が「主催者」として前に立ち続けることです。民間が前に出すぎると、区の事業として説明しにくくなり、担当者が代わったときに続かない。区が主催し、私たちは事務局に徹する。この距離感を5年半変えていません。

もう一つは、代わりにやらないこと。会員の事業相談も、プロジェクトの立ち上げも、私たちが引き取って完成させるのではなく、本人が動けるところまで一緒に設計します。手を離しても回る状態をつくるのが事務局の仕事だと考えています。

5年半の数字

区の令和6年度実績報告(2025年5月公表)から、主なものを引きます。

項目令和6年度の実績
LINE登録者数6,701人(前年度比 +1,956人)
メール(Synergy!)登録者数2,707人(前年度比 +707人)
BARニューウェーブ世田谷10回開催・277名
セタガヤミライカイギ(事業相談)面談 約160名
SETAGAYA NEW WAVE申込167名・参加90名・交流会43名
エシカルマーケット出展21事業者・来場 延べ約1,000名
サスセタ(スタンプラリー)参加25店舗・約500名
セタオーレーベル令和6年度8曲リリース・累計18曲・再生 約11万回
SETAGAYA PORT YOUTH(学生)名刺発信基地 17名、ガヤノバ 延べ約100名
体験型キャリアデザイン教室小学生16名・保護者11名

登録メンバーはその後も増え、2026年7月に7,700名を超えました。

数字を並べましたが、私たちが見ているのは増加そのものではありません。立場の違う人が集まるほどマッチングの選択肢が増え、事業相談やプロジェクトが動きやすくなる。登録者数は、その前提が育っているかを測る一つの目安です。

続いている理由

5年半続いている理由を、3つに絞ります。

1. 「事業」ではなく「場」として設計した
単年度で成果を出し切る事業設計にすると、翌年度は毎回ゼロから人を集めることになります。会員登録という形で人が残る器を先につくり、イベントやプロジェクトはその中で回す。この順番を最初に決めたことが、いまも効いています。

2. 参加の条件を下げた
登録は無料、区内外を問わず、法人でも個人でも学生でも登録できる。条件を厳しくすると「正しい人」だけが集まり、掛け合わせが起きません。間口を広くして、深く関わりたい人にはプロジェクトという次の段階を用意する。この二段構えにしています。

3. 区が主催者として前に立ち続けた
担当者の異動があっても、区の事業として毎年度の実績報告が公表され、目的が引き継がれる。民間が主役の取り組みだと、ここが途切れます。区が前に立ち、私たちは事務局として数字を残す。地味ですが、続く官民連携はこの形が多いと感じています。

自治体の担当者の方へ

同じような場を考えている方から、よく聞かれることを3つ。

構想段階でも相談できますか
できます。むしろ仕様書や予算要求の前にご一緒したほうが、続く設計になりやすいです。SETAGAYA PORT も、構想の段階から区とご一緒しました。初回の相談に費用はいただいていません。

どのくらいの期間を見ればいいですか
コミュニティの運営を含む場合は、年単位でご一緒することが多いです。1年目は器をつくる年、2年目から掛け合わせが起き始める、というのが実感です。

東京以外でも対応できますか
しています。秋田県・山形県・北海道・福島県・熊本県・長崎県などで、移住・関係人口・産品ブランディングのプロジェクトを実施してきました。オンラインを中心に、要所で現地に入る体制を組みます。

官民連携・行政との共創で私たちができることは、官民連携・行政との共創プロジェクトにまとめています。事業者・法人の方の相談窓口はこちらです。

参考リンク


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