高森町のファンクラブ
「FAMILY TREE TAKAMORI」ができるまで
熊本県阿蘇山の南東部に位置する高森町。阿蘇の豊かな伏流水に恵まれたこの地では、酒・醤油・漬物など私たちの暮らしに身近なものが作られています。
2017年3月、その高森の生産者を紹介するファンクラブ「FAMILY TREE TAKAMORI」が正式に結成し、紹介冊子やWebサイトが完成しました。
ここに至るまでには、多くの課題と人の繋がりがありました。
そのFAMILY TREE TAKAMORIの結成のために取り組んだことについて、全体ディレクションを行った中屋と、アートディレクションを行なったBRIDGE KUMAMOTOの佐藤かつあきさんからお話を聞きました。
きっかけは熊本の仕事をどう生み出していくか
ーー今回、高森町で始まったファンクラブ「FAMILY TREE TAKAMORI」 ですが、どのようなきっかけから始まったのでしょうか?
中屋:2016年の4月に発生した熊本地震から2ヶ月後の6月に私は熊本県へ行きました。そこで、崇城大学ボランティアビレッジの運営を行っていた一般社団法人チーム熊本代表理事の三城さんと池田さんたちと出会い、震災後の仕事をどう生み出していくかを話し合っていました。
その中で、KKTエンタープライズの宮本さんを紹介してもらい、私が今まで関わってきた“フィッシャーマンジャパン”や“チームふくしまプライド”のファンクラブ結成の話をしたところ、「熊本県高森町でもファンクラブができないか?」というお話を頂き、半年かけてのファンクラブ結成計画が始まりました。
また、デザイン関係は熊本のクリエーターチームBRIDGE KUMAMOTOの佐藤かつあきさんにアートディレクションをお願いし、熊本のクリエーターを起用させて頂きました。
佐藤:中屋さんから話を聞いた時は、熊本のクリエーターを起用させてもらえることが嬉しかったです。しかし、高森町の多様性をどうまとめるかが気になりました。
ーーなるほど。高森町へは定期的に行かれたのですか?
中屋:毎月1回は行きましたね。佐藤さんもほぼ一緒に行動を共にしました。前半は高森町の資源を調査するフィールドワークや、現地の生産者さんへのヒアリングを行いました。高森町は阿蘇山で磨かれた水に恵まれた土地で、その水を求めて古くからものづくりが行われている場所なんですよ。
例えば、創業255年の酒蔵や、100年以上続く醤油屋さん、3代続く漬物屋さんなど代々受け継がれてきたものづくりが根付いています。
ーーすごい!高森町って山奥ですよね。
中屋:そうですね。熊本では珍しく冬は雪も積もります。その気温差が高森食材の美味しさを生んでいると聞きました。高森町は人口が6,000人ほどの小さな町なので、皆さん顔見知りで助け合いながら暮らしをしているそうです。
その家族のような温かさがある地域だからこそ長年続いているものづくりがあるのかもしれませんね。
届けたい人は誰か?
ーーフィールドワーク後は何をされたのでしょうか?
中屋:フィールドワークで得た情報を元にWebアンケートをとり、高森町に関心の高い層の調査を行いました。高森町は長年受け継がれてきた産品が多く、「TAKARAMORI」という町づくりを行う魅力的な取り組みがあるにも関わらず、全体のターゲットが定まっていない為に魅力が散漫しているように感じました。
そこで、Webアンケートで得たターゲット層を元に、生産者と行政が「明確なコンセプト」を決める。つまり「届けたい人に、何を伝えるか」を可視化して共通意識にするワークショップを行いました。
ーーどのようなワークショップを行ったのですか?
中屋:ファンクラブは、FAMIRY TREE TAKAMORIのメンバー全員が納得した“届けたい人”を決定することが大切です。
ワークショップではメンバー各自が“届けたい人”から連想できる画像をジャンルごとに多く集めて共有をしました。そこで共感し合ったり、これは違うのではないかとディスカッションを重ねたり、届けたい人をより明確化していきました。
佐藤:皆さん楽しみながら行っていましたね!受け身ではなく真剣に取り組んでいる姿が印象的でした。
ーー全員が納得する“届けたい人”を決めるのは大変そうですね。
中屋:そう思われるかもしれませんが、実際に被っているものや、異なる言い回しを使っているけど本質は同じというものが多かったですね。
佐藤:各生産者さんたちも、お客様の中にこの人物像そっくりの人たちがいると話になりましたよ。
FAMILY TREE TAKAMORIの誕生
ーー“届けたい人”に高森町をどう伝えるのでしょうか?
中屋:その“届けたい人”に高森町のことを伝える媒体の1つがファンクラブです。高森町は本当に家族のようなコミュニティを築き上げてきていて、高森町に訪れた人はその温かさに触れるとたちまちファンになってしまいます。そうしてまた新しい家族になっていく。
家族たちが作った商品や住んでいる高森町を紹介していきたいと思い、「FAMILY TREE TAKAMORI」という名前が生まれました。
佐藤:中屋さんがポロっと言ったことだったね。僕もすごくしっくりきました。仕事以外でも高森町に行きたくて、先日家族で遊びに行ったよ。本当に家族という言葉がしっくりくる町だよね。
中屋:ファンクラブは作って終わりではありません。これから高森町を紹介していく商談会やPOP UP CAFEなどを行い、多様な方々に高森町のことを伝えていきます。そして、高森町を知った人たちに家族の一員になってもらえたらなと思います。
高森町を知っている人と高森町をまだ知らない人。両者を繋ぐことで新たな高森町のファンが生まれるでしょう。今年から「FAMILY TREE TAKAMORI」は動き始めます。
▼FAMILY TREE TAKAMORI Webサイト
http://www.familytree-takamori.com/
高森町に関連する記事はこちら
・老舗の味を東京へ「FAMILY TREE TAKAMORI」商談会を開催!
・「FAMILY TREE TAKAMORI」イベントを開催!
・熊本・高森のイメージビデオが完成!「神バンド」のギターリストが音楽提供
・FAMILY TREE TAKAMORI公式ECサイトOPEN&初夏Verリニューアル
・神話や民話と共存する熊本県高森町。住民がつくる「体験」を通じたまちづくりプロジェクト