代沢せせらぎ公園の拡張区域で行った試行体験日の様子

公園の社会実験の進め方|1日から始める5つのステップと、設計・公募への生かし方

公園の社会実験とは、設計や公募の条件を決める前に、現地で実際に使ってみて反応を確かめる取り組みです。この記事では、dot button company が企画・運営を担当した2つの公園の社会実験(世田谷区・代沢せせらぎ公園、横須賀市・三笠公園)をもとに、始め方と進め方を5つのステップにまとめました。これから社会実験を検討する自治体の担当者の方に向けた内容です。

この記事の要点

  • 公園の社会実験は、1日・数テーマからで始められます
  • 最初に「確かめたい問い」を1〜2個に絞ると、結果を設計や公募条件に戻しやすくなります
  • 来場者数を目的にすると、検証ができなくなることがあります
  • 設計会社や指定管理者と役割を分けると、それぞれが自分の領域に集中できます
  • 終わったあとに残るのは記録だけです。記録を検討会や基本計画に渡すところまでを、社会実験の範囲に含めます

公園の社会実験は、何のために行うのか

会議室での話し合いや図面だけでは、決めきれないことがあります。「原っぱでボール遊びをしてよいか」「フェンスはどの高さなら景観を損ねないか」「この公園でどんな事業が成り立つのか」。こうした問いは、現地で試してみないと答えが出ません。

社会実験の目的は、こうした問いに、実際の使われ方という根拠を用意することです。住民参加の検討会と組み合わせれば合意形成の材料になり、Park-PFI などの公募の前に行えば、公募条件に実感を持たせられます。

進め方には、大きく2つの型があります。

  • 住民が試す型:住民が「公園でやってみたいこと」を現地で試し、その結果を設計や利用ルールに反映する(例:代沢せせらぎ公園の試行体験日)
  • 民間が持ち込む型:民間事業者がイベントや出店を持ち込み、どんな使い方や業種が合うかを確かめる(例:三笠公園のトライアルサウンディング)

進め方:5つのステップ

1. 確かめたい問いを1〜2個に絞る

最初に決めるのは「何を確かめる日か」です。「にぎわいをつくる」だけを目的にすると、終わったあとに何も残りません。代沢せせらぎ公園の第2回では、フェンスの高さ(2m・3m・5.5m を仮設)、ボール遊びの音(3カ所で測定)、配置案への投票の3つに絞りました。三笠公園では「この土地柄に合う業種・体験は何か」を確かめる日と決め、食・クラフト・空間の3領域を意図的に混ぜています。

2. 規模と期間を決める

大きく始める必要はありません。代沢せせらぎ公園の第1回は1日5時間、三笠公園は1日(11:00〜17:00)でした。1回で結論を出そうとせず、回を重ねて問いを更新していくほうが、設計に戻せる結果が出ます。代沢せせらぎ公園は、2025年6月から2026年1月までに3回行いました。

3. 体制と役割分担を決める

社会実験には、設計・運営・告知・会場調整など、性質の違う仕事が含まれます。代沢せせらぎ公園では、設計会社が公園の「外観」を、私たちが行われる体験という「中身」を担当しました。三笠公園では、市の側が告知や会場調整を担い、私たちはコンセプト設計、出店者の開拓と調整、空間演出、当日運営、記録を担当しています。役割を分けると、それぞれが自分の領域に集中できます。

出店者や協力者は、地元の事業者だけ、外の事業者だけに偏らないようにします。三笠公園では、横須賀の生産者3軒と、飲食・クラフト・空間の事業者8組を組み合わせました。地元だけだと日常の延長になり、外の人だけだと地域に根づきません。

4. 当日は「検証」と「にぎわい」のバランスをとる

社会実験は、検証とにぎわいのどちらかに寄せすぎるとうまくいきません。代沢せせらぎ公園の第1回は想定100名に対して約300名が来場し、現場が子どもたちの対応で手一杯になって、本来確かめたかったことが十分に見られませんでした。この反省から、第2回は来場者数を目的にせず検証に振り、第3回は住民が主役になる企画を増やしています。

検証だけに寄せると住民が置き去りになり、にぎわいだけに寄せると設計に戻りません。回ごとに重心を変えながら、両方を行き来するのが現実的です。

5. 記録して、次の計画に渡す

運営の手を離れたあとに残るのは記録だけです。数字・写真・参加者の声を開催直後にまとめ、検討会や基本計画の担当に渡します。代沢せせらぎ公園では、試行体験日の結果を公園づくり検討会に戻し、基本設計の説明と意見交換につなげています。三笠公園では、社会実験の後、市が2024年6月に基本計画を公表し、同年8月に Park-PFI と指定管理者制度を組み合わせた事業者公募を始めました。

よくある失敗と、その避け方

よくある失敗起きること避け方
来場者数を目標にする想定を超えて来場があると、検証ができなくなる問いを先に決め、数字は「投票数」「回答数」など検証に使える指標で見る
検証だけに寄せる住民が置き去りになり、参加の意味が薄れる住民が主役になる企画を回ごとに入れる
にぎわいだけに寄せる楽しい1日で終わり、設計や公募に戻らない確かめたいことと記録の方法を、企画段階で決めておく
記録を残さない結果が担当者の記憶にしか残らない開催直後に数字・写真・声をまとめ、検討会や計画の担当に渡す

2つの事例の比較

代沢せせらぎ公園(世田谷区)三笠公園(横須賀市)
型住民が試す型(試行体験日)民間が持ち込む型(トライアルサウンディング)
期間2025年6月〜2026年1月に3回(各回1日)2023年10月28日の1日
確かめたことフェンスの高さ、音、配置案、遊具や原っぱの使い方この公園に合う業種・体験
数字第1回・第3回 約300名、第2回 配置案投票95票地元の生産者3軒+事業者8組
その後公園づくり検討会で基本設計の説明と意見交換基本計画の公表(2024年6月)、Park-PFI+指定管理者の公募(同年8月)

詳しくは、代沢せせらぎ公園「試行体験日」の記録と三笠公園「Park at the park」の記録をご覧ください。

よくある質問

合意形成の場としても使えますか

使えます。「音が心配」「人が増えると困る」といった声は、説明会だけでは解けないことがあります。実際に小さく試して体験してもらうことが、いちばん早い合意形成になる場合があります。

外部にはどこまで任せられますか

私たちの場合、コンセプト設計から、出店者の開拓と調整、空間演出、当日運営、開催後の記録までを担当できます。告知や会場調整は自治体や指定管理者の側で担っていただく分担が多いです。

Park-PFI や公募の前に行う意味はありますか

あります。公募条件を決める前に小さく試して反応を見ておくと、条件に実感が乗ります。三笠公園では、社会実験の後に基本計画の公表と公募へ進んでいます。

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dot button company は、公園の社会実験や試行イベントの企画・運営を担当しています。公園・公共空間の活用でできることは公園・公共空間の活用|Park-PFI・社会実験・場づくりに、行政との共創の進め方は官民連携・行政との共創プロジェクトにまとめています。まだ形になっていない段階のご相談はお問い合わせからどうぞ。


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